哲ちゃんの引退
昨シーズンが終わった頃だったか、初めて「引退」っという言葉を耳にしたのは。「もぉ辞めるよぉ〜」
っと冗談まじりに話していて、その数週間後にはプラマック・ホンダの契約が成立した事を聞いた。

最終戦バレンシアGPの木曜日の夜に「辞めるよ、オレ。」って。また、昨年と同じ冗談半分に受け
てたら今回は本気らしい・・・・。「金曜にプレスコンファレンスするから」って。結局ホンダ本体の
都合もあったりして土曜の6時からとなった。

チームミーティングが本来なら5時から始まるのだがマックおじさんが軽い食中毒を起こして治療
が終わるのを待っていたが6時になってしまい「オレちょっと用事あるから」っと言ってミーティング
をすっぽかしてプラマック・ホンダのホスピタリティーへダッシュ。既に沢山の人だかりで全然見え
ない。ウロウロしていると、このホスピを運営しているベルティが「キッチンを通って前に行け!」
っと案内してくれて裏に行ったらケニーJrもいた。

ちょうどコンファレンスが始まったところだった。
ヤマハ、HRC、アプリリアのボス達が1人のライダーの引退発表の式にいる光景は異様というか
普通は見れない。1人ずつスピーチを哲ちゃんに述べていたがアプリリアのベッチョ社長の言葉、
イタリア語で何を言っているか分からなかったが感情が喋り方と表情に出ていて一瞬ホロっとき
たが我慢我慢。ケニーJrが「あれ誰だ?」って聞いてきた時に彼の目は充血していた。そういえ
ばケニーJrはヤマハ時代はチームメイトだった事を思い出した。

コンファレンスが終了しシャンパンをみんなでワイワイ飲んでいた。哲ちゃんはイタリア人と話して
いたりして「話は後ですればいいなぁ」っと思ったら、クルっとまわってオレの方に向かってくる。
ホンの数秒の間に今までのレースが蘇ってきた。

14年。

1989年に全日本にデビューしてからず〜〜〜〜っと同じフィールドでレースしてきた。
握手した瞬間、止め処なく涙がこぼれてきた。自分でも何故だか解らない。
全然涙が止まらない。格好悪いと思っていても止らない。
みんなには「誰が引退するんだい?」ってからかわれたりして・・・。
情けない顔のままみんなで記念撮影してしまった。後で見るのが恐い・・・。

レース直後にピットに行って胴上げする予定だったのにぃ。ラコーニのバカ野郎!!

PS 哲ちゃん、本当にご苦労さまでした。